交通事故による高次脳機能障害|後遺障害等級認定のポイントは?
交通事故による高次脳機能障害は、外見からは判断しづらい深刻な後遺障害で、思考力や記憶力の低下、言語障害など、さまざまな症状を引き起こします。
そのため、後遺障害等級認定の申請により、患者さんとご家族の生活をサポートすることが重要です。
この記事では、高次脳機能障害の特徴から後遺障害等級認定のポイントまで詳しく解説します。
交通事故による高次脳機能障害について
交通事故によって脳の一部に損傷を負った場合、思考力や記憶力などの低下を引き起こす高次脳機能障害の原因となります。
言語能力の低下や注意力の欠如なども特徴的な症状です。
もし、医師から高次脳機能障害である診断を受け、症状が固定した場合は後遺障害等級認定の申請をしましょう。
高次脳機能障害の主な症状
高次脳機能障害は、外見からは判断が難しい脳の機能障害です。
被害者の方によって症状の現れ方や程度は大きく異なります。
症状の種類 | 具体的な症状 |
---|---|
失語障害 | 文字の理解や会話の内容把握が困難に。発話や読解に支障が出る。 |
先行障害 | 麻痺がなくても日常的な動作ができない。道具の使い方を間違う。 |
失認障害 | 視覚は正常だが物の認識が難しく、文字の読み取りに問題が生じる。 |
注意力低下 | 集中力が持続せず、複数の作業を同時にこなすことが困難に。 |
記憶障害 | 記憶の定着が難しく、人物の顔や名前などの記憶に支障が出る。 |
遂行機能障害 | 計画立案や行動が困難で、他者からの指示がないと動けない。 |
病識の低下 | 自身の状態を適切に認識できず、治療への抵抗を示すことがある。 |
社会的行動障害 | 感情のコントロールが難しい。無気力な状態や執着的な行動が見られる。 |
高次脳機能障害の後遺障害等級について
高次脳機能障害による記憶障害を負った場合、適切な補償を受けるために後遺障害等級認定の申請が必要です。
後遺障害等級の認定基準
高次脳機能障害により認められる可能性がある後遺障害等級認定は、以下の通りです。
等級 | 認定基準 |
---|---|
1級1号 | 常時介護が必要な重度の神経系統または精神機能の障害 |
2級1号 | 随時介護を要する深刻な神経系統または精神機能の障害 |
3級3号 | 就労が全く不可能と判断される神経系統または精神機能の障害 |
5級2号 | 特に軽易な作業以外の労務が困難な神経系統または精神機能の障害 |
7級4号 | 軽易な作業以外の労務が不可能な神経系統または精神機能の障害 |
9級10号 | 就労可能な職種が著しく制限される神経系統または精神機能の障害 |
後遺障害等級認定を受けるためのポイント
高次脳機能障害の後遺障害等級認定には、以下の3つの要素が重視されます。
1.画像診断による証明
MRIやCT検査で脳の損傷を客観的に確認することが不可欠。
搬送先の医療機関で未実施の場合は、速やかに検査を求めること。
2.事故直後の意識状態
頭部への衝撃による意識障害は、高次脳機能障害の発症リスクと密接に関連する。
事故発生時の意識状態や意識喪失の有無、継続時間などは重要な判断材料。
3.必要書類の準備
後遺障害等級認定の申請には、以下の書類が必要。
- 後遺障害診断書
- 日常生活状況報告書
- 神経系統の障害に関する医学的意見書
- 頭部外傷後の意識障害に関する所見
まとめ
高次脳機能障害は、交通事故による脳への衝撃で発症する重大な後遺障害です。
思考力や記憶力の低下、言語障害など、患者さんごとに異なる症状が表れるため、適切な後遺障害等級の認定申請が重要です。
患者さんとご家族の生活を支えるためにも、適切な補償制度を活用するようにしましょう。
認定申請について悩みがある際には、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。