慰謝料・損害賠償
交通事故で怪我を負うほどの傷害を受ければ,被害者は加害者に損害賠償と慰謝料を請求することができます。では具体的に⑴損害賠償と⑵慰謝料は何を表しているのでしょうか。それぞれ法的に見ていきましょう。
⑴損害賠償
本来、加害者が被害者に対してわざと傷害を与えたり、被害者が所有する物を壊したりするなど何らかの財産的な損害を被害者が被ったときに、被害者は加害者に損害賠償請求をすることができます(民法709条)。
なお、交通事故の場合には少し異なります。
具体的には、①運転者に不注意があったり、②被害者や運転者以外の第三者に加害意図や事故を止められた余地がなかったり、③自動車が正常に動作していたりした場合に入院費などを請求することができます(自動車損害賠償法3条)。
通常の損害賠償に比べて自動車事故に基づいた損害賠償は自動車を運転する人により重い責任(危険責任)が問われます。
損害賠償をきちんと被害者が確保できるために自動車損害賠償責任保険制度を導入しています。
⑵慰謝料
損害賠償が被害者の負った財産的な損害の賠償であるのに対して、慰謝料は被害者(場合によっては被害者の家族も含む)の負った精神的な苦痛(精神的損害)に対する賠償になります(民法710条)。
例えば夫が交通事故で亡くなったら、夫による収入など交通事故がなければ得られたであろう財産的利益に加え、夫そのものを失ってしまうことになります。夫は妻にとっては掛け替えのない存在ですし、子どもがいればさらに家族としてのまとまりを不安定にさせる可能性も生じます。このようなときに精神的損害が発生していると見ることができます。