遺産分割
相続において複数の相続人がいる場合、まず遺産は共有状態となります。それぞれの相続人が単独で財産を所有できるようにするためには遺産分割が必要です。相続に関する法律を理解し正当な主張をすることで、相続問題の早期解決が望めるほかご自身の相続分を守ることにも繋がります。ここでは遺産分割の方法について解説していきます。
遺産分割には主に現物分割、換価分割、代償分割の3つの方法があり、相続財産の内容によっていずれかを選択します。以下でそれぞれについて詳しく説明していきます。
■現物分割
相続財産をそのままで一つ一つ各相続人に割り振ることが「現物分割」です。
例えば、相続人が3人いて相続財産が土地・建物・現金の3種類だったとき、1人は土地を、次の1人は建物を、最後の1人が現金を相続するといった場合や、相続財産が預貯金だけで、これを分割する場合がこれに当たります。相続財産一つ一つを単独の相続人が相続するため、ほかの方法と比べて簡単に手続きを行うことができますが、預貯金ではなく不動産などが相続財産のうち大きな割合を占めていると、各相続人に平等に割り振ることは困難となります。
■換価分割
不動産や株式などを売却して現金化してから、各相続人に割り振ることが「換価分割」です。
この方法では全ての相続財産がお金になるため、各相続人に平等に分けることができます。
しかし不動産を売却する場合は、相続人全員に譲渡所得税が課されるなど注意も必要です。
また、この方法では全ての土地や建物を売却してしまうことから、相続人が誰も利用しない不動産ばかりある場合には適していますが、誰かが住んでいるなどの場合にはよく検討する必要があります。
■代償分割
複数いる相続人のうち一人が不動産などを相続するときに、他の共同相続人との間に生じた相続財産の差を代償金として支払うことが「代償分割」です。
代償分割は、相続財産の中に不動産が多く現金が少ない場合など、現物分割が難しい場合に選択される方法ですが、代償金や相続税を払う必要があるなど負担が大きく、また争いになりやすいものでもあります。