相続における寄与分とは?要件や計算方法など詳しく解説
◆寄与分とは?
相続における寄与分とは、相続人が被相続人の財産の管理や増加に関して大きく貢献をしている場合や、被相続人の看病や介護をしていたような場合に、他の相続人よりも多く財産を受け取ることができるというものです。
寄与分の存在を知らなかった場合、思いがけない損失となってしまうため、しっかりと要件や計算方法について知っておくことが大切です。
◆寄与分を受けるための要件
①相続人であること
これはある意味当然のことではありますが、相続人でなければ贈与や遺贈がない限り、財産の管理や増加に貢献したとしても寄与分を受け取ることはできません。
しかしながら特別寄与請求権というものがあり、「被相続人の相続人ではない親族」にも寄与分が認められます。
ここで注意しなければならないのが、あくまで親族ということであり、友人や知人は寄与分の対象とはなりません。
②被相続人の財産の維持または増加に貢献した行為を行ったこと
上記の事実があった場合にのみ寄与分が認められます。そのため、主観的または客観的に被相続人に貢献したと思われるような場合であっても、その行為が財産の維持や増加に関わらない場合には、寄与分が認められません。
具体的にはどのような行為が財産の維持または増加に貢献したといえるのかを示していきたいと思います。
条文の要件としては以下の2つがあります。
・被相続人の事業に関する労務の提供又は財産の給付
この要件に関しては、文言通りであるため特に説明は不要だと思います。
例えば被相続人が農業を営んでいた場合には、年配の方には難しい力仕事や、何かしらの農具を提供したなどといったことが考えられます。
・被相続人の療養看護
療養看護といっても通院の付き添いや入院時の世話をするといった行為は、法律で義務付けられた範囲内のものであるため、貢献しているとまではいえません。
期待される以上に貢献した行為、すなわち「特別の寄与」である必要があります。
なお、「特別の寄与」に当たるか否かは相続人間の話し合いによって決めることとなります。
条文に示されたい要件以外では次のようなものがあります。
・特別の寄与にあたること
こちらは上記で説明したとおりです。
・無償ないし無償に近い行為を行ったこと
寄与と認められる行為は原則として「無償の行為」である必要があります。
したがって、生活費や給与、報酬等のお金をもらっているような場合には無償ではないため、寄与行為とはいえません。
・継続性がある行為を行ったこと
一定期間以上継続して貢献をしていなければ、寄与分は認められません。
一時的に介護行為を行ったというような場合には、継続性が認められません。
一定の期間の解釈はそれぞれの事情があるため、判断が難しくなっていますが、3年継続して貢献している場合には、継続性があると判断されるケースが多くなっています。
◆寄与分の計算方法
①みなし相続財産の計算
計算が複雑にならないように、ここではわかりやすい数字を使って解説をしていきます。
被相続人に3000万円の預金と、3000万円の価値を有する不動産があった場合、合計で6000万円の財産が存在するということになります。
そして、ここである相続人の貢献度が2000万円相当と評価されたと仮定します。
そうすると、相続分は財産全体価値の6000万円から2000万円を差し引いた、4000万円が相続財産とみなされます。
②具体的相続分の計算
上記の事例から、被相続人に子どもが2人いた場合、それぞれが法定相続分として上記の4000万円から2分の1ずつ相続をすることとなります。
そして、そのうちの一方が上記の通り2000万円相当の貢献をしているということで、4000万円を相続することとなります。
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