公正証書遺言を作成してもめるケースとは?対策も併せて解説
公正証書遺言は、相続トラブルを防ぐための手段として広く利用されています。
公証人の立ち会いのもとで作成されるため、形式の誤りで無効になる心配がなく、証拠能力も高いのが特徴です。
しかし形式的に正しくても、遺言がきっかけでかえって家族の関係が悪化してしまうこともあります。
今回は、公正証書遺言でトラブルが起きる典型的なケースとその対策を解説いたします。
公正証書遺言でもトラブルになる代表的なケース
公正証書遺言を作成してもめるケースは、以下のとおりです。
- 遺留分を無視した内容になっている
- 遺言執行者に利害関係人が指定されている
- 財産の指定や表現があいまいになっている
それぞれ確認していきましょう。
遺留分を無視した内容になっている
法律では、配偶者や子など一部の相続人に遺留分という最低限の取り分が保障されています。
遺言で誰かに全財産を相続させるよう記載した場合、他の相続人の遺留分を侵害してしまうことがあり、結果として遺留分を主張する紛争に発展します。
遺言執行者に利害関係人が指定されている
遺言書の内容を実際に実行する「遺言執行者」の存在は重要です。
しかし相続人から選任すると「中立性が保たれていない」と見られる場合があり、他の相続人から反発を受ける可能性があります。
財産の指定や表現があいまいになっている
遺言書に「自宅を妻に任せる」「長男が家業を継ぐ」などと記載しただけでは、法的に誰がどの権利を持つのかが明確ではありません。
不動産の名義変更や、事業の承継時に混乱が生じ、各相続人間で解釈が分かれてしまうことがあります。
公正証書遺言に関するトラブルを防ぐための対策
公正証書遺言に関するトラブルを防ぐためには、以下のような対策を検討してください。
遺留分や特別受益を考慮する
特定の相続人だけを優遇する内容にすると、他の相続人に不公平感を与えがちです。
財産の分け方を決める際には、遺留分の範囲や特別受益なども踏まえて検討しましょう。
遺産を指定する場合は内容を具体的に記す
遺言書には、「誰に」「どの財産を」「どの割合で」相続させるのかを、明確な言葉で書きましょう。
不動産であれば登記簿上の住所・地番を、預金であれば金融機関名や支店名まで具体的に記載するのが重要です。
弁護士に相談する
弁護士や司法書士など、相続実務に詳しい専門家のチェックを受けてから作成することで、法的に整合性の取れた内容に仕上げられます。
また、第三者である弁護士を遺言執行者に指定すれば、相続人間の不信感を防ぐことにもつながります。
まとめ
公正証書遺言は、確実性の高い遺言方式ではありますが、家族間の争いを完全に防ぐことはできません。
相続人の感情面や生活状況にも配慮しつつ、法律的に整合性のある遺言を作成することが重要です。
不安がある場合は、相続問題に詳しい弁護士に相談することを検討してください。










