不動産売買契約書のチェックポイント
土地や家といった不動産の売買においても、他の契約と同様に口頭だけでも契約を交わすことは可能です。しかし、不動産の売買は高額な取引であり、金額以外にも様々な条件が買主売主の両者に課されることもあります。取引の内容や契約の条件を明確にし、合意した上で売買契約を締結するため、不動産売買契約書はほとんどの不動産売買において作成されています。
不動産売買契約書のチェックポイントとしては、以下の10点が挙げられます。
①契約の当事者と契約の対象となる不動産
契約の当事者や契約の対象となる不動産に誤りがないかの確認が必要です。当事者は住所や氏名により特定しますが、当事者が未成年の場合には法定代理人等の記載も必要となるため注意が必要となります。また不動産も登記簿に基づいた記載により特定されます。
②売買代金や手付金の金額、売買代金の支払時期・方法
売買代金に誤りがないか、手付金の金額が適切かにも注意する必要があります。一般に手付金には売買契約を締結した証拠としての性質(証約手付)と、買主や売主が解約したい場合の保証金としての性質(解約手付)を持っています。そのため解約手付として性質からいつまで手付解除が可能かも確認する必要があります。
また違約手付といった他の性質を手付金に付与したい場合には別途特約を設ける必要があります。
また不動産は高額であり、分割払いでの売買がなされることも多いため、残代金の支払時期・方法も確認する必要があります。
③土地の実測、土地代金の精算
不動産の売買においては、その土地の面積を基に行われることが多くなっていますが、登記簿に記載された面積と実際の面積が異なっている場合もあります。
そのため、実測を行い、売買代金を増額・減額するなどして精算する必要があります。
④所有権の移転時期、不動産の引渡し時期
所有権の移転時期は、通常代金の支払と同時になされます。しかし不動産の引渡しに関しては、引っ越しなどの都合から所有権移転時期と異なる場合もあるため、いつ不動産が引き渡されるのか、確認が必要です。
⑤公租公課の精算
公租公課とは、固定資産税や都市計画税などの税金のことであり、毎年1月1日の所有者が4月からの1年度分を支払うことになっています。
そのため所有権の移転時期によっては日割計算で買主と売主の間で精算されることが多く、所有権の移転時期と合わせて確認が必要です。
⑥付帯設備等の引渡し
中古住宅などでは、エアコンなどが住宅に付帯していることも多くなっています。こうした設備を買主が引き継ぐのか、あるいは引渡しまでに取り外して売主が所有することになるのか、確認が必要です。
⑦負担の消除
ここでいう負担とは、抵当権や賃借権など、売買の目的不動産に付属した権利を指します。抵当権などが残ったままでは、後にトラブルへと発展しかねないため、負担が残ることについて合意がない場合には、基本的には売主が負担を取り除く必要があります。
⑧危険負担
危険負担とは契約締結後、不動産が地震などにより買主売主の双方に帰責事由のなく不動産が滅失した場合の負担の取り決めを指します。民法改正により不動産の引渡し前であれば売主が、引渡し後は買主が負担するのが原則となりました。つまり引渡し前に何かあった時は売主が責任を負う(買主は代金の支払を拒むことができる)、引渡し後であれば買主が責任を負う(不動産が全壊などしても代金を支払わなければならない)ということです。不動産の引渡しのタイミングにより、負担が変わってくるため、引渡しの時期と合わせて確認が必要です。
⑨契約違反の解除
買主が代金を払えない、売主が契約の条件を満たせないなど、買主や売主のいずれかが債務不履行となった場合には契約を解除することができます。
この場合の違約金などについて確認が必要です。
⑩住宅ローン特約
不動産の売買代金は高額であるため、住宅ローンを組んでの支払も多くなっています。しかし、ローンの審査に通らなかった場合、常に買主の債務不履行としてしまうのは買主にとって酷であるため、ローンの審査が通らなかった場合に無条件で解除ができるという特則を設定することが一般的になっています。
そのため、ローンを利用する場合には確認が必要です。
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