婿養子の相続権について
通常の相続の場合、民法上相続人になりうるのは被相続人の配偶者、子、兄弟姉妹、直系尊属に限られます(民法887、889、890条参照)。つまり、遺言書を書くなどの場合でない限り子の配偶者は相続権を持ちません。そこで、子の配偶者を婿養子にすることで、法定相続人として被相続人の遺産を相続させるということができます。
上述のように、婿養子には相続権を有することになります。では、そもそも婿養子とはなんでしょうか。婿とは異なるのでしょうか。結論から言いますと、婿養子と婿は法的には異なる存在といえます。
婿養子とは、読んで字の如く、子の夫を養子に入れることです。養子は、縁組の日から養親の嫡出子の身分を取得します(民法809条)から、相続において婿養子は被相続人の実子(ここでは婿養子の妻)と同じ割合で相続分を有します。
これに対して、婿とは単純に妻の氏を名乗ることを意味するだけです。ですので、妻の親が死亡した際にも婿は相続権を有しません。
このように、婿養子は妻が所属する「家」に養子として所属する状態を指し、そうであるがゆえに妻の親の相続権を有することになります。なお、養子縁組によって養子はその実方の親族関係から離脱するのではないから、実父母に対する相続権は失うことはないと考えられています。
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