相続人の1人と連絡が取れない…相続手続きはどうしたらいい?
相続手続きを進める際、相続人と連絡が取れないという課題に直面することがあります。
遺産分割協議には全員の合意が必要不可欠ですが、相続人の所在が不明なケースも少なくありません。
本記事では、相続人と連絡が取れない場合の具体的な対応策と法的な解決方法を解説します。
なぜ相続人との連絡を取ることが不可欠なのか
相続手続きには、遺産分割協議書の作成が必須です。
遺産分割協議の際には、相続人全員が参加して合意を形成する必要があります。
どのような事情があっても、一部の相続人を除外して遺産分割協議を実施することはできません。
もし、連絡を取らずに手続きを進めてしまうと、遺産分割協議自体が無効となるため、まずは相続人全員との連絡を取ることが必要です。
所在不明の相続人がいる場合の具体的な対応策
相続手続きを進めるうえで、一部の相続人と連絡が取れないケースがあります。
ここからは、相続人がどこにいるかを特定するための具体的な調査方法を紹介します。
住所調査を行う
所在不明の相続人がいる場合、まず取るべき対応策は住所調査です。
戸籍の附票を活用することで、相続人の現住所を確認することができます。
戸籍謄本には本籍地は記載されていますが、現在の住所情報は含まれてないため、戸籍の附票を確認するようにしましょう。
住所が判明したら、訪問や手紙の送付などを行い、連絡を取りましょう。
不在者財産管理人制度を利用する
所在不明の相続人への連絡が取れない場合には、法的な解決策があります。
それが不在者財産管理人制度(民法第25条第1項)です。
この制度を利用することで、相続手続きを適切に進めることが可能です。
不在者財産管理人は、所在不明者の財産を管理し、保護する役割を担います。
不在者財産管理人に選任され、裁判所から権限外行為の許可を得ることで、遺産分割協議に代理人として参加できる(民法第28条)ようになります。
失踪宣告を申し立てる
相続人の所在が7年以上不明な場合、失踪宣告という制度を使うことが可能です。
失踪宣告により、法律上その相続人を死亡したとみなすことができるため、遺産分割協議を実施できる環境が整います。
失踪宣告によって相続人の範囲に変更が生じた場合には、新たに相続権を得た方を含めた協議が必要です。
まとめ
相続手続きでは、遺産分割協議に相続人全員の参加が必要です。
連絡が取れない相続人がいる場合は、戸籍の附票による住所調査が有効です。
それでも見つからない場合は、不在者財産管理人の選任申立てや、7年以上所在不明の場合は失踪宣告制度を活用できます。
相続を円滑に進めるためには、まず相続人全員との連絡手段を確保することが重要です。
一人でも欠けると遺産分割協議は無効となるため、必ずすべての相続人を特定し、連絡を取るようにしましょう。