成年後見制度とは
成年後見制度とは、認知症の発症者など、事理弁式能力を欠く人(被後見人)に財産管理などをサポートする人(後見人)をつける制度のことをいいます。成年後見制度の特徴は、もはや自らの財産状況を社会通念に照らし合わせて合理的にコントロールすることができなくなった人の行動を制限するということです。つまり、例えば被後見人とても高価な車を何も言わずに買ってきた際に、後見人はその被後見人の行為を取り消すことができます(民法9条)。
成年後見制度を利用するには、家庭裁判所に後見開始の審判を請求する必要があります(民法7条)。これにより後見の手続きが開始されます(同法838条2号)。なお、被後見人の精神障害の重症度に応じて後見人・保佐人・補助人が選出されることになります。後見人になることができるのは、裁判所の職権により選任された人になります(同法843条1項)。この点については、特に親族に限るなどの制限を設けていません。ただ一般的には被後見人の親族や弁護士・司法書士が選任されることが多いです。
こうして家庭裁判所に選任された成年後見人の役割・特徴は、大きく2つあります。
第1に、成年被後見人の財産管理をすることです。具体的には、預貯金口座の出入金や金融機関からの郵便物の確認、法務局での不動産登記事項、定期的な収入と支出、家賃の滞納の有無など多岐にわたる後見人の財産管理が任されることになります。後見人による相続の開始のために財産目録を作成しておくことも重要な役割になります。
第2に、療養看護をすることです。具体的には、被後見人の住居を確保や入退院の手続きなどを行います。
以上が成年後見制度の概略になります。
メリットとしては、成年後見人の監督の下に被成年後見人は置かれるわけですから、例えば被成年後見人が高額な買い物をしたとしても取り消すことができますし、被成年後見人を介護施設に入れる場合でも被成年後見人に代理して後見人が手続きを行うことができます。
デメリットとしては、費用が挙げられます。弁護士や司法書士に委任して後見開始の審判から始まる成年後見制度を取り行ってもらった場合には40万円前後の費用がかかります。また、弁護士・司法書士が後見人になった場合にも月々の報酬費用がかかります。この辺りを注意しておく必要はあるでしょう。
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